「やまゆり93号」が発行されました

世界中の人が「アレルヤ!」と歌えますように

        健軍教会 渡辺 隆義 主任司祭

主の復活の喜びの時なのに、世界はまだ主の受難の悲しみの日の只中にいるようです。
ウクライナでは両軍だけでなく子どもたちを含む一般市民にも多数の死傷者が出、数百万人の避難民が生まれています。“侵略”の責任者たちは、爆撃によって生まれた凄惨な場所にたたずんで遺体を前に涙することもなく、必死で自己弁護をします。兵士たちは仲間がやられたことで復讐心に燃え、さらなる暴力にエスカレートする。戦果を自分の功績と自慢する指揮官とその背後にいる人たち。
いわゆる“戦争を知らない子ども世代”のはじめに生まれてこのかた、世界のあちこちで争いの絶えることはありません。先日も、「私たちのことも忘れないで」と訴えるミャンマーの人たちの声を聞きました。
旧約聖書は戦争の歴史本のようです。殺りくを“聖戦”として正当化する内容もありますが、同時に、人々の苦悶と嘆きの声も書き記しています。世間の戦争本との違いは、聖書はそこに神の介在を見ていることです。なぜ起こったのか、終結させるためにはどうしたらよいのかを聖書は神との関わりで考察しています。
世界はもう絶望的なのでしょうか。決してそうではありません。聖書は希望の書です。いつくしみ深い神への立ち返りへの悲痛な叫びがこだましています。神は人が死んだり傷ついたりするのを高みの見物と決め込む方ではありません。むしろ、心を痛める方です。「平和をもたらす人は幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」とイエスは言われました(マタイ5:9)。平和の実現のために働きましょう。人のいのちを奪う武器の支援によってではなく、平和への祈りという霊的武器によって。
戦争はいつかは終結します。その時は、“和解と癒しの道”の建設を協働で進めましょう。こうして、いつの日か全世界が「アレルヤ(神を讃えよう)」と心を一つにして歌うことができますように。

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